みんなおはよう！ 私の愛称は「無職ちゃん」！ どうして無職ちゃんって呼ばれてるかは……うん、色々察してね！ （※ヒント:平日の正午） 朝食を終えてからはいつものように暇だから、運動がてら今日も電子の海を泳ごうと思ったんだけど……、 たまには変わったこともしてみたいと思って、あるものを用意してきたんだ！ えーと、たしかここに… じゃーん！ なんと魔道書！ なんでも古くから伝わる魔道書で、呪文だとかなんとかが載ってて、読むと危険だとかなんとか……。 ええっと、他にもいろいろ魔法陣の本とかも買ってきたよ〜 全部揃えるのに苦労してさ〜、え？お金はって？ ……気を取り直して、今回の計画を発表するよ！ 今回は！ 「魔法使いになって、なにかを召喚する計画」！ 〜〜〜数時間後〜〜〜 ふ、ふ、ふ……。もう私の頭の中には、もう完全に、ばっちりと、いろんな魔法の知識が取り込まれたのだ……。多分。 できればドラゴンがほしいけど、ただでさえ狭い部屋がさらに狭くなるからチワワくらいのサイズで……、 最悪でもスライム……いや、そもそも……、 なんて、考えていても仕方ない！こういうのはやってみるに限るよね！？ 必要な道具は揃えたし、あとは描いてみるだけ、簡単だよっ え〜っと、まずは円を描いて……。な、なんかぐにゃっとしてる？ とにかく、ここをこうで、こうして……。あれ？ こうかな？ あれれ〜？ ん〜、まあこれでよし！ ちょっとずれてるのなんて気にしない気にしない！ じゃあ用意した魔法使いの服に着替えて、手を合わせて……。 ！？ 次の瞬間、魔法陣が輝き出して……！ ま、眩し——っ！ …え？ここどこ？ 森？森なの？本当に？ え？幻覚じゃないよね？ …なんか噂の”あれ”？”いせかいてんせい”というやつ？ ならステータスは… …見れる訳ないよね。感じるもん、そういうのじゃなさそうだし。 いや、ちょっとまって。 これ、私が”呼んだ”んじゃなくて”呼ばれた”の？ 「ま、そう思っておけば大丈夫だ嬢ちゃん。」 「きゃぁぁぁぁ！？」 びっくりしたぁ。誰かいるなら返事してよ、ようやく村人第一号だ… って、え？足から顔まで鎧の人がいるんだけど。 ちょっと待って？騎士様？にしては地味だし… 「…まぁ、俺自身は騎士って柄じゃねぇな。大体インターマ族がそういう階級に居ることくらい珍しいんじゃねぇか？」 「そ…そうですか…えーとあの、とりあえず兜脱ぎませんか？」 「え？」 … 「ふぇ！？そういう種族だったんですか？世界って広ーい」 「まぁ、お前の言う常識もあまり分からんからそういうものではあるか…っと、ここまでくれば大丈夫だろう。…酒場の場所は覚えてるな？」 「はい！ありがとうございました、コートラウスさん！」 「どうも…っておい！？落とし物だ！」 「うわ！？あ！ありがとうございます」 最初っからお世話になりっぱなしだったな、コートラウスって人。お金までくれたし。悪い人じゃないよね。‥‥違うよね？ でも、まだ「いんたーまー」って種族が居るのは信じきれてないんだよね。兜の中も見せてくれはしたけど絶対透明薬飲んでないと不安なタイプの人だもんあの人。 それはそうと、よ？ やったー、町についたーーー！ あの人もあの人で頼もしかったけど人間がいるってこんなに安心するんだ！ ‥‥唯一、私が着替えたような格好の人が全然いないのすっごく不安なんだけど。 とにかく、酒場に行けば良いんだよね。よし、しゅっぱーつ！ お邪魔しまーす。 うわー、隠れ家に来たみたいでワクワクする！ …あーでも浮かれては紹介してもらった意味ないよね。 じゃあ、失礼しまー… 「嬢ちゃん、まずはカウンターに行くのが常識だぜ？」 あ、そうだったっけ。　失敗！ じゃあえーっと、カウンターってあそこだよね。よいしょっと。 「すみませーん、マスター！…マスター？」 「嬢ちゃん、ここは喫茶店じゃねぇ。呼ぶなら『ボーイ』って呼ぶんだ。」 嘘！？　‥あ、気付いた。もー、異世界って難しいよ… 「っと嬢ちゃん、何か用かな？旅人って訳ではなさそうだが…」 どうしよう、何も考えてなかったんだけど！ ‥って帰る方法だね。来たくて来たんじゃないもん。 でもなー。　でもなー…そうだ！こうしよう。 「えーっとえーっと、魔法に詳しい人は居ませんか？」 「魔法か。魔導か魔術のどっちだ？」 「え？」 …… 私が知りたいのは『魔術』だったみたい。 魔法陣書いたりするのが魔術で、えいやって飛ばすのが魔導という風に分けてるみたい。 魔道書見せたら一発だったよ。なんでも山奥に住んでる賢者的な人でないと手に負えなさそうだって。 なんでもその人、ずーっとそこに引きこもって何か調べてるみたい。ちょっと親近感覚えるのは私の勝手かな？ よし、目標もきまったし、この世界を堪能しながらそこを目指そうかな。 この世界、ちょっと面白そうだし自由に行き来出来たらきっと世界が変わって見える…いや、本当に変わってるの？ …うん、難しいこと考えるのやめ！ お楽しみ目指してしゅっぱーつ。 …の、前に準備だね。 地図は貰った、食料も十分。　でも外っておっかないんだよね？ しかし、私はだいじょーぶ。懐に魔道書があるもんね！ ふ、ふ、ふ…。これを見‥‥ これを…… こ…… あれ？あれれ？ え、もしかして私だけ飛ばされた！？ そうだね、ポケットにあれは入らないよね、お金だから入ったんだよね。 …魔道書売ってるとこ探そ。 すみませーん… ふ、ふ、ふ…。これを‥へっくし！ 仕切り直し！今のは聞かなかったことにして！ こほん。あー、あー。… これを見よ！これが私の魔道書だぁー！ 欲を言ったらゲームみたいにいろいろ使いたかったけどね。 ま、私にかかればこれっぽっちでも十分だぜ！ 見よ、身のこな‥痛ぁ！ ちょっと汚れたかな？ うー、この服思ったより動きにくい… … ま、避けるまでも無いわ！瞬殺よ瞬殺！ 何せ魔法よ魔法！ よし、しゅっぱつしんこー！ …うう、周りの目が痛い… あまり見ないで… って、意気揚々と出たは良いんだけど。 これ、意識しないと迷う！ 森の道って結構自然任せなんだね。 この調子じゃ地図の方も良く見ないと見逃すかも… 「グルルルルルル…」 ふぁ！？あ、オオカミか。ってキャー！！ 私、そんな美味しく… …あ。 そうだっけ、だから外はおっかないんだっけ… ふ、ふ、ふ…。だからって大人しく食べられる私では無いわー 刮目せよ！ここにあるは‥っひゃあ！？ そうだね、相手も真剣だもんね。よし！ 「くらえ！ファイアァァァ！！！」 ビュォォォ…スパーン！ …やった？　やった？ ……やった！　本当に決まった！ いやー、よかったよかった。 まー多分これビギナーズラックってやつだと思うけど、うん。 終わり良ければ総て良し！ … でもあれだね。風の刃を飛ばす魔法に「ファイア」って詠唱は無いよね。 暇なときにでも魔道書を書き換えとこ。教えてもらった復習になるしね。 いつ教わったのって？お店でちょっとね。 覚えるの大変だったんだよ… まぁ、それはともかく。 よし、再びしゅっぱつしんこー。 うわぁ、大きいお城… フフン。私、しってるもん。 確か、『まがす』って国のお城だったっけ？ 『まがしあ』になった時に引っ越してここは使われてないらしいんだ。 やっぱり外から見ても結構立派だね。　なんでこんなところ捨てちゃったんだろ… …？…！？ 今、何か感じた？　気のせいかな？ …うん、ここは止めといた方がいいのかもね。　ばいばーい！ …うーん、ちょっと休憩したいな。　良い場所は… お、ちょうどいい所に切り株はっけーん！　よいしょっと。ふぅー… というか私ってこれだけ歩けたんだ… いや、違うね。これのお陰だ。 サラシ巻くのって男装するみたいだから抵抗はあったんだけど、これを巻いてから体が軽くなった感じがするんだよね。 まぁ、サラシというよりはサラシに書かれた呪文のお陰かな。 聞いた話、簡単な呪文を衣服に書いて魔道書代わりにする人もいるんだって。 これにはなんと！身体を軽くする呪文が刻まれてるってわけ。 まぁ、要するに　先人の知恵、サイコー！　ってとこだね。 でもちょっと苦しいから休憩の時くらい、いいよね。 あー、楽だね…っと。 魔道書をちょっと確認。　お勉強ってかなり面倒だったけど… 確か詠唱部分はっと…あった！　ふむふむ… よし、これで大丈夫だね。　休憩もじゅうぶ… 　　　…グゥゥー ついでに昼ご飯にしよ。 …うん、携帯食も結構いけるね。 いや、普通に菓子パンだよこれ！　おいしー ぷはぁー、ごちそうさま！ 改めてサラシを巻いて、と。 よし、しゅっぱーつ！ いざ、賢者様の元へ！ … もうちょっと待ってね。サラシ緩めるから… なんか結構暗くなってきたな。 コンパスだけが頼りだし、探し回る必要もあるし… 本当に帰れるのかな。　現在地？『迷いの森』だよ。 危険度…コンパスがちゃんと働く青木ヶ原樹海って言ったらどういう感じかわかるかな？ まぁ、青木ヶ原樹海も良く聞く噂程度でしか知らないから例えが合ってるのかわからないけどね。 うーん、一泊は覚悟した方が良かったのかなぁ… 占ってもらった結果が『頑張ったら今日中に会える』だもん。 っと、あ。誰かいる！ まぁ、賢者的な人って感じではなさそうよね。どこかの組織の人なのかな。 ちょっと声を掛けてみようかな。 「あのー、すみません。何をされてるんですか？」 「…まぁ、行方不明者の捜索をしていたところだが、一人見つかってな。」 そうなんだ。暗くてよく見えないけど…え？ 「まぁ、この通り手遅れだってこった。姿勢と感覚からモルマスにかかわったと見て間違いない。」 目が慣れてきたけど、最初はただ座ってるだけなのかなーって思ってた。 一瞬お祈りしてるようにも見えたけど、胸のあたりから何か赤黒いものが見えて… 「刺激が強かろう、あまり見ない方がいい。恨まれる側じゃないだけまだましだろう。」 「もし恨まれる側だったらどんな…」 「まず、人の形が残るかすら怪しいな。それに強烈な恐怖が残留する。…そう聞いている。」 そうなんだ。あまり聞きたくなかったな… 「ところで聞きたいことがあるんですが、この辺りに魔術師のおじいさんは住んでますか？」 「？…ってもしかして噂のあの人か？北の山の中腹に住処があるって話だ。が、気をつけな。用があるなら試練を潜り抜けないと相手してもらえないぜ。」 「そうなんですか。ありがとうございます。」 「まぁ、最低限の自衛力があれば前準備が無くても潜り抜けることは可能って話だからな。せいぜい頑張んな。」 良かった、親切な人達で。ありがとうございました。 …でも別れた後に聞こえた子の独り言が妙に耳に残るのよね。 ーまぁ、あれもこれも混乱期の影響だろうな。親父によればここまで物騒になったのもな…ー 気付けばもう時間は夜。早速家のベッドが恋しくなってきた、気がする。 寝っ転がりたい。 フカフカのベッドに寝っ転がりたい。 あー、もしこれが夢オチ…だったら流石に嫌かなぁ。でも… ガサッ　ガサガサ… 「え？」 何か物音が‥した？ うん、だれかいるね。　じー… ！？、後ろ？ いや、落ち着け私。 ー試練を潜り抜けないと相手してもらえないぜー そう、試されてるのよ。 ふ、ふ、ふ……。いいじゃない？ さぁ、どこからでも… ガシャン！ あ、インターマ－だ。 「…立ち去れ…」 「…え？」 いや、これがいわゆる試練ってや…へ？ ちょっと待って！？　わんさかいるんだけど！？ …感じが違う人が一人いるね。ってことは 「ウインド！ウインド！」 あ、詠唱変えてみたんだ。うん、ちゃんと変えられてるね。 で、思った通り大体は偽物だったね…消えた！？ え、ちょっと待って！？本当に消えたんだけど…ってうわぁ！？ 危な！もうちょっとで斬られるところだったよ！？ …うん、透明になったと考えてもいいのかな？ というなら！…どうしよう。 或いは…ほっ！ ガサッ　ガサッ へへん！どーよ。 逃げるが勝ちっていうもんね。動いていれば当たらな…痛ぁ！？ うわ、足に蔦が絡みついてる！ なんか引いた感じに聞き流してたけどこれって噂の… いやー考えたくないー… 違うって信じたいな… … 待って、違うんだったらそういう魔法があるってこと？ 考えられるのは…魔術罠だとしたら対策は辛うじて覚えてるし。 あ、そう考えたらやりようはあるかも！ よーし、覚悟してよね！　 おりゃー… タネがわかったらなんてことなかったね… 全部、植物を操るタイプだったみたい。 インターマだと思ってたあの鎧、中から動かしてただけだったし。 ふぅー、疲れたぁ… ってあれ？あそこにあるの山小屋？ 「ハハハ、及第点じゃ小娘！ささ、疲れたじゃろう？」 あ、お爺さんだ。 「まぁ、俗世が面倒ってのはあるな。それに自然と戯れるのも良いガス抜きになる。」 へぇー、そうなんですか。 あ、さっきであった爺さんが噂の賢者的な人みたい。 まぁ、なんというか…魔法バカ…な人だったよ‥ 「やー、誰が訪ねてくるかと思えばこんな年若い娘となぁ？」 え？ちょっと！？なに普通に触っ 「若気の至りで風魔法に『ファイア』なんて名付けとったろ。で、恐らく違和感を感じたかで『ウインド』に変えたな？」 ふぇ！？ え、なんでなんでなんで？爺さんに話してなかったよね！？ っていうかここまで私、あいづちと返事でしか喋ってないよ？ 「てな感じに使った魔法を逆算出来るという特技が身についたわけじゃ。ほんの余興じゃよ。」 ほんと、まほーバカってすごーい。…いや、実際すごいんだけどね。 「さて、今ので大体わかった。大方望みはもとの世界に戻る手段じゃな？」 え、それも！？わたし、なにも言ってないけど？ って返事しないと。 「え？あ…はい、そうです。でもなんで…」 「感じ馴れぬ力の流れを分析した結果じゃ。それに不安が載ってるときた。こんなところか。暫く準備が必要になるから待ってくれんかの。」 「あ、わかりました…っとそうだ。モルマスって何ですか？ここに来る途中、彼に関わったって人がいて、座り込んで祈ってる状態で…」 ひぃっ！？え？え？ ….私、なんかマズイこと聞いた？ 「どれほど力を付けているかは聞いてないか？」 「あ、いえ。何も…何か恨みとかでもあるんですか？」 「ワシが恨む？そんなことがあるもんか！奴の糧になろうなどという腐った考えが無くならんからワーマーなどというたわけを逃すんじゃろうが…」 あ、あー… まぁ、要するにこういうことらしいね。あとから聞いたりして分かったんだけど この世界って感情が魔力に影響を及ぼしやすい世界なんだって。 で、国同士の争いが絶えない時期が続いて、良くない感情が渦巻くようになったらしいんだよね。 で、そういったものが集まる土地があって、その一つに『ドゥーマ』って場所があるらしいんだ。 戦争で溜まった良くない感情がドゥーマでごちゃごちゃして魔王になったらしいのよね。 あ、その魔王の名前が『ワーマー』ね。 聞いた話、そのワーマーに滅ぼされた国もあったみたい。今も滅ぼしきれずに封印されてるらしいんだよね… 「マガス帝国が武装解除して遷都したのはそのワーマーの監視に専念するためとも言われとるな。どっちも余計な風評に邪魔されんためのパフォーマンスじゃろうが。」 …ってことらしい。 モルマスは圧政に絶えかねた住民が生んだんだって。行動の原動力も恨み、彼を動かす力にこもった思いも恨み… しかもモルマスを生んだとされる人たち、発見された時の状態がさっき話した、「モルマスに関わったとされる元行方不明者」と同じ態勢だったんだって。 「可能性の話にはなるが、ワーマーがモルマスを取り込むことも十分に考えられる。そうなればどれほどまでに厳しいか…っと、こんなものか。」 「え？…あ！」 何をしてるのかと思ったらこれ、私がこの世界に来る切っ掛けのやつ…正確に言えばそれに似ている魔法陣なんだけど。 「大丈夫かな？」 「はい、ありがとうございます。」 ヒントがもらえたらラッキーだな、程度に思ってたのにこれはすごい収穫だよ！ これで戻れるんだ！… 「もしまた来たいならこれを使いなさい。次お前さんがこの世界に来るとき、どうなっておるか分からん。が、こいつを使えば死んで迷子になることも無かろう。」 さり気にちょっと怖いこと聞いた気もするけどもう心配はいらないよね。 結構楽しかったけど流石にお母さんに心配かけるわけにはいかないしね。 それじゃあ、手を合わせて……。 ！？ 次の瞬間、魔法陣が輝き出して……！ ま、眩し——っ！ …戻ってこれたんだよね？ 壁、ベッド、パソコン…やった！いつもの私の部屋だ！ うん、うん。あーそうそう、壁叩いたらこんな音だっけ。 もう一つ、いいよね。よし、ダーイブ！ わーい、いつものフカフカベッドだー！ 「ちょっと、何騒がしくしてんの？」 お、お母さん？ って時間見て驚いたけどそんなに時間経ってなかったの！？ いや、それどころじゃないね。 今部屋に入れるのはかなりまず 「大丈夫？ 入るよー？」 「あ、い、今は──」 遅かった。もう私の姿は母親の目にくっきりと映り込んでしまった。 「な、何その格好！？ 魔女っ子にでも目覚めたのあんた……？」 「い、いやこれはそういうことじゃなくて、そのだから違うんだって！ そういう目をしないでも解決する方法がどこかにあるはずだからその」 「だいじょーぶ、中々似合ってるわ！ だけど今日は……家族会議ね」 だ、だから……違うんだってばぁーーーー！！！！ ――――――――――――――― 「そいつはとんだ経験だったな。」 「はい….で、マスターさんなら何かわかると思ったんですが。」 「私の知ってる世界とはちょっと違うな。そうか、ワーマーを倒せなかった世界、か… その世界では魔導兵士が軍を出て"インターマー"と呼ばれるようになった、と。」 「はい、そうらしいです。」 あれから魔道書についてネットで調べてたら小さな酒場を見つけたんだ。 だからダメもとで来てみたんだけど、これってビンゴというやつだよね！ 「というかあの世界、平和になった未来があったんですね。」 「そうだ。まぁ、戦力排斥運動に伴う革命運動でマガス帝国は滅亡、魔導兵士も破壊されていったと聞くがな。 私の知る世界ではインターマーはその生き残り、と言われている」 「え！？…そう、なんだ。」 「あぁ、そういうことだ。あと、マガス帝国打倒に動いた革命軍の建国した国の名前が『マガシア』となってるな。」 えー… え、じゃあその未来ではもしかしたらコートラウスさんは… そう決まった訳ではないけど、そうなのね… 「だからこそ、マガス帝国の話はかなり人気となっているんだ。 何せ平和をもたらし、時代と共に消えていったからこその謎に惹かれるものがあるのだろう。 お前達でも…そうだな、義経の八艘飛びや逆落としは知ってるだろう？」 「そう言えば！…って今時もっと良い例えがある気がするけど…」 今どきそれでピンとくる人、いるのかなぁ。 だけど、そっか…幻の帝国、ね。 また、あの世界へ行ってみるのも良いのかな。 幻の帝国、て聞くとなんだか興味沸いてこない？ …うん、そのときはもっとちゃんと準備とかしなきゃね。 今思えばあの時上手くいったのって偶然かもしれないし、もし今度あの世界に行くとして上手くいくとは限らないでしょ？