Loading...

「魔法少女翔〜紅葉編 二次創作小説〜」


「1」


〜高館小学校〜


「ごめん!翔!天空ちゃん!土日に紅葉(もみじ)を預かってほしいの!」

「「……………え???」」



俺の名前は風穴 翔(かざあな かける)!

ひょんなことから魔法少女に変身できるようになった小学5年生!

…そうだよ男だよ。なんか悪いか?


今日はいつものように下校時間になったから妹の天空(そら)と一緒に帰ろうとしてたんだけど……クラスメイトのいいんちょー、剣吉 茜(けんよし あかね)に呼び止められた。


「紅葉って…いいんちょーの妹の?」

「いったいどうしたの茜ちゃん?」

「実は私、明日家族と一緒に剣道の合宿へ行く事になってさ…紅葉も連れて行く予定だったんだけど、紅葉が「私、天空ちゃん家に泊まってみたい!お姉ちゃん達は行ってきていいよ!」って言い出しちゃって…。」


困った顔をするいいんちょー。

すると天空が。


「あっ…ごめんなさい茜ちゃん。多分ソレ私のせいかも。この前紅葉ちゃんと遊んだ時に今度家でお泊まり会やろうねって言っちゃったから…。」

「あ〜そうだったんだ。別にそこまで気にする事ないわよ天空ちゃん。何で紅葉が急に言い出したのか気になってただけだから。…じゃあお願いできる?」

「うん!もちろんだよ茜ちゃん!」

「おいおい待て待て。俺はまだいいとは言って…」


「「お兄ちゃん(翔)〜???」」


「うっ………………分かったよ。」

「やったー!紅葉ちゃんとお泊まり会だ〜!」


両手をあげて喜ぶ天空。

いいんちょーが翔に耳打ちしてくる。


「大丈夫だとは思うけどさ。翔の部屋には入らないようちゃんと紅葉には言っとくから。私の時みたいに正体バレないように。(第26話 ストーカーJK参照)」

「いやいや。人の家来て勝手にタンス開けたりお風呂入って来たりするのいいんちょーだけだから……。」




〜夕方 風穴家〜


「こんばんは!よろしくお願いします。(ペコリ)」

「わーい!紅葉ちゃんいらっしゃーい!」

「いやいや!いきなり今日からかよ!?」


いいんちょーと別れてからほんの数時間ちょっとで紅葉が風穴家にやってきた!

どうやら風穴家と剣吉家の両親での話し合いはとうに済んでいたらしい。


「あ、翔くん。お姉ちゃんがいつもお世話になってます。(ペコリ)」

「え?お世話?俺が…?ま・まぁね〜。」

「お兄ちゃん…意味がちょっと分かってないかな?(苦笑い)」

「天空ちゃん。私の荷物は何処に置いていい?」

「私の部屋だよ〜。今日は一緒のベッドで寝よう!」

「うん!お邪魔しま〜す!」


ワイワイはしゃぎながら階段を上がって天空の部屋に行った二人。

翔はその場でムムムと悩んでいた。


「……まぁ大丈夫か、いいんちょーの妹なら。部屋で女の子の練習してよ〜っと。」



「2」


〜風穴家 天空の部屋〜



天空と紅葉がジュースとお菓子を食べながら談笑している。


「あははは。あ…天空ちゃん。お手洗い借りるね。」

「いいよ〜1階にあるから。それと紅葉ちゃん、お兄ちゃんの…」

「お部屋には勝手に入っちゃダメなんだよね?お姉ちゃんに言われてるから大丈夫だよ。」

「ごめんね。ありがとう。」


部屋を出る紅葉。

1人ポツンと残ってしまった天空。

翔の部屋の方を向く。


「さすがにお兄ちゃん…紅葉ちゃん来てる時は女の子やってないと思うけど……。」



〜一方、翔の部屋〜


「〜♪〜♫〜♩」



翔は鼻歌を歌いながら鏡の前で女の子に変身しファッションチェックをしていた。


「今日は部屋着のコーデしてみたけど、この服モコモコしてて可愛いなぁ〜。えへへ………うっ。」


急にモジモジし始める翔。


「やべっ。今日体育が終わった後に水飲みすぎたな…トイレ行ってこよ。」



変身解除せずそのまま部屋を出ていってしまう翔。


一階のトイレの目の前まで来てドアノブに触れようとしたその時。


(ガチャ)


「あっ。」

「あっ。」


鉢合わせしてしまった2人。


「ど・どうぞ?」

「ごめんねぇ〜漏れる漏れる…。」



翔は早くトイレに行きたかったからか事態を把握してないままトイレに入ってしまった。

紅葉は……すぐ部屋に戻らず立ち止まって考えていた。


「あれ?あの子……何処かで見たような?」


疑問に思いながらもそのまま天空の部屋に戻る紅葉。

一方翔は。


「ふぅ〜…………あっ!?」


今更気付いた。


---------------------------------------


(ガチャ)


「あ、おかえり紅葉ちゃん!」

「………あっ!中居林翔子(なかいばやし しょうこ)ちゃんだ!」

「え?」


天空の顔を見てさっき見た女の子の事を思い出す紅葉!(第14話 ジャスコ再び参照)

瞬間、冷や汗をかく天空!


「(お兄ちゃんまさか…何やってるの!?)しょ・翔子ちゃん?従姉妹の?見間違いじゃないかな〜?」

「そんな事ないよ!私見たもん!ほら、着いてきて天空ちゃん!」


天空の手を引っ張って1階に連れてくる紅葉。

どうしよう〜…という表情な天空。

トイレの前に着くとちょうど水が流れる音がする。


「(コンコン)もしも〜し。翔子ちゃんいるよね〜?」

「ちょ…紅葉ちゃ…」


紅葉がトイレのドアをノックすると、ゆっくりとドアが開いた!

そして中から出てきたのは………!


「「あれ??」」

「な・何だよお前ら。」


中にいたのは男の翔だった!

だが服が……。


「ゴメンナサイ……あれ?何でそんなモコモコな服着てるの?」

「あっ!コレは……」

「さ・寒いんだよねぇ〜お兄ちゃん?ソレ私があげた服なの〜!」

「え?」

「あっ……そ・そうなんだよ!ふぅ〜さみぃさみぃ。じゃあお二人ともごゆっくり〜!」


早足で自分の部屋に戻る翔。

天空たちもゆっくり自分たちの部屋に戻る。


「見間違いだったのかなぁ〜?それにしても翔くんって家だと可愛い服も着てるんだね。」

「う・うん。たまにね〜。」

「女の子の服を着て学校に来たって噂本当だったんだ〜。すご〜い!(第17話 新学期参照)」

「そうなんだよ〜普通すぎて私も気付かなかったんだ〜。お兄ちゃんさすがだよ〜。(ゴメンねお兄ちゃん。でも今回はお兄ちゃんが悪いと思います。)」



後日、紅葉のクラスから翔の女装登校が再び学校中で話題に上がってくるとは……翔が知る由もなかった……。



「3」


〜翌日 ラピア 洋服売り場〜


紅葉が泊まってきた翌日、翔は女の子2人に連れられてラピアへ遊びに来ていた。

今日は1日、3人で出掛けてきなさいと翔ママに言われたからである。


「ちぇ、何で俺まで…。」

「わ〜可愛い!この服、天空ちゃんに似合うと思う!」

「ホントだ可愛い〜!じゃあ紅葉ちゃんはこのフリフリ試着してみて?」

「わ・私にはこんなの似合わないよ〜。翔くんに着せてみようよ翔くんに。」

「何でだよ!?」



〜ゲームセンター〜


メダルゲームをして遊ぶ3人。

翔はボタンを押して遊ぶ筐体を。

天空と紅葉はメダル自体を飛ばして積み上がったメダルを落とすゲームをしている。



「あ〜くそぉ〜!またハズレた!メダルあとちょっとしかない……どれに挑むべきかな。」

「あ、翔くん。メダル余ってるからあげる!」

「え?ありがと……コレどうしたの?」

「天空ちゃんがスゴいの!」

「天空が?」


天空の様子を見に行く翔。

するとそこにはメダルの箱をたくさん並べながら座って遊んでいる天空がいた!


「すごい天空ちゃん!また山を崩したの?」

「違うよ〜。今度はあそこのモニターのルーレットが当たって『じゃっく…ぽっと』?っていうのが出てきて沢山メダル出てきたの!」

「へぇ〜!山を崩さなくてもメダルゲットできるんだこのゲーム!」

「運が良かっただけだよ〜。」


天空の豪運に唖然とする翔。

よく見ると紅葉もちゃんとメダルを手に入れている。


「お・俺もそのゲームやろうかなぁ〜?」



〜数分後〜


「ま・負けた………。」

「あははは、翔くん最後の方でメダルを連射してたの面白かった〜!」

「お兄ちゃん、もうメダルゲームはやめた方がいいよ…。」

「なんでだぁ〜………ん???」


その時。翔は何か「嫌な気配」を感じた!

魔法少女になってから何度か感じた事があるこの感覚は………モンスターだ!

すると……。


「キャァァァァ!!!化け物ー!!!」

「うわぁぁぁ!逃げろぉぉ!!!」


沢山の悲鳴がゲームセンター内に響く!

声のする方を見ると、そこには人の形をしたモンスター…魔人がゆっくりと歩き回っていた!

魔人のまわりにメダルやカードが浮いている!


「う・嘘だろ?こんな所にまでアイツら現れるのかよ!?」

「何…アレ…。」

「紅葉ちゃん、早く逃げよう!……お兄ちゃん!」

「あぁ。頼む天空!」


紅葉を支えて逃げようとする天空!

だが…!


「おっと、いい人質がいるじゃないか。逃がさんぞ!」

「きゃあ!」


逃げようとする天空と紅葉が魔人の操る大量のカードによって捕らわれてしまった!


「天空!紅葉ちゃん!」

「ふん、ショタはいい!ロリで充分だ!」


今度は沢山のゲームの筐体を浮かせて、一斉に翔へ投げつける魔人!


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」


ガシャァァァァァァァァン!!!

………翔を埋めて山積みになるゲームの筐体。


「ふん。ではこのロリっ子たちを連れて……。」

「変身!」

「むっ!?」


その場を去ろうとした魔人が声のした方を振り返ると!

そこには筐体の山の上に立つ1人の魔法少女がいた!


「マジカルショーコ参上!悪い魔人さんはお仕置きだよ!」

「ほう、巷で噂の魔法少女か。こんな小さなメスガキとはな。どこから現れたのやら……。」

「あっ!マジカルショーコちゃん!」


魔法少女の登場に目をキラキラさせる紅葉。


「また助けに来てくれたんだね!」

「また?…あぁそうか。俺が初めて勝った時に。(第10話 シュイン参照)」

「え…?『俺』?」

「ヤバっ…わ・私の事覚えててくれたのね!ありがとう!(キュルン)」


素が出そうになったがぶりっ子で乗り切る翔。

笑いを堪える天空。


「よ〜し魔人め、覚悟……」

「おっと魔法少女よ。人質が見えないのかな?迂闊に手を出すのはよしたまえ。」

「なっ……卑怯だぞ!」

「安心しろ。私は魔人の中でも暴力で解決するのを嫌っている方でね。返してほしければ……着いてこい!」


操るカードで捕まった天空と紅葉を連れながらゲームセンターを離れる魔人!


「え!?上の階に逃げ…?待てー!」


翔も浮いて追いかけて行く!



「4」


〜ラピア 屋上〜


「ようやく着いt……え!?」

「来たか、魔法少女。」

「お兄ちゃ……ショーコちゃん!」


翔が屋上までたどり着くとそこにあったのは、ロープ3本だけで支えられ吊るされている天空と紅葉だった!

魔人の手には大きなハサミが握られている!


「さぁ、ゲームを始めようか魔法少女。」

「ゲ・ゲームだと!?」

「私が今から出題するクイズに見事正解すればこのロリっ子達は解放してやろう。だが一問外すごとに…」


ハサミの刃がロープへと……!


「ジャキン!…だ。」

「ヒィ…!高いぉ…!」

「下見ちゃダメだよ紅葉ちゃん!」

「やめろ!………分かった。やってやる!」

「それでいい。まぁお前はまだ子供のようだからな。小学生レベルの問題にしてやろう。(パチン!)」


魔人が指を鳴らすと翔の前にクイズ番組でよく見る台座とボタンが現れた!

構える翔。


「第一問!「5分の3÷2=?」は?」

「えっ!?分数の割り算!?」

「どうした魔法少女?小学校……『6年生レベル』の問題だぞ?」

「ま・待てよ!俺……私は5年生…!」

「制限時間は5分くれてやる。大サービスだ。さぁ考えろ考えろ〜?」

「そんな……え〜っと分数……分数を……割る……。」


台座に用意された紙と鉛筆で式を書きながら考える翔。

だが習っていない範囲で途中で手が止まってしまう!


〜5分経過〜


「ぐっ……答えは……2分の1!半分で割ってるから!」

「クハハハハ!!!残念だがハズレだ!では。」


ジャキン!!!


2人を支えているロープが一本切られる!


「「キャァァァァァァ!!!」

「天空!紅葉ちゃん!」


まだ2本のロープで支えられているが切られた勢いで揺れる2人!


「では次の問題だ魔法少女。第二問、次の空欄の漢字を書いてもらおう。『○○(うちゅう)を○った(つくった)。』だ!」

「漢字……うちゅうは簡単だ!アニメとかでよく見るもん!『宇宙』だ!」

「ふむ。」

「そしてつくったは……『作った』だ!これで…!」

「ふはははは!やはりな!不正解だ!」

「えぇ!?」

「答えは『創った』だ。まだ習っていなかったようだなぁ?では………。」


ジャキン!


「やだぁ!怖いよぉ!」

「大丈夫だよ紅葉ちゃん!まだ落ちてないよ!」


最後の一本に支えられている2人。

魔人は慢心した笑みを浮かべながら悔しがっている翔の方を向く。


「さぁ魔法少女。これが最後のクイズだ。覚悟はいいか?」

「(くそぉ……このままじゃ……)」


「………………小学生の女の子たちを相手に。随分とくだらない小細工をするのですねアナタは。」


「え?」

「む?なんだ貴様は?」


翔の後ろから声が……そこにいたのは!


「凛さ……ゆ・百合絵さん!!!???」


翔たち魔法少女の仲間の1人、戦闘員ではないが魔法少女たちの「風紀」を正すために現れた魔法少女。

「鮫 百合絵(さめ ゆりえ)」だった!!!



「5」


〜ラピア 屋上〜


「百合絵さん!?どうしてここに!?」

「たまたま私もラピアに来ていただけですよ。学校での用事が終わった帰りに買い物へ来たら……このような事になっていたなんて。」

「そうだったんだ…。でも百合絵さんって確か。」

「えぇ。私は非戦闘要員の魔法少女です。ですから先程までは避難している人たちを誘導していました。」

「え?すごい!」

「いえいえ当たり前のことです。さて、どうやら今回は私の出番のようですね。」

「え……?あっ。」


翔の横を通って魔人の前へ歩み寄る百合絵。

警戒する魔人。


「貴様……何をする気だ!」

「アナタ、暴力で解決するのを嫌っていると仰ってましたね?………私もです。なのでアナタの土俵に私が立ちましょう!(眼鏡くいっ)」

「ほう……貴様がこのクイズを引き継ぐというのか?」

「えぇ。代わりに私がお相手します!」

「フハハ!よかろう!だがロープはあと一本だ!一問でも外せば……」

「御託はいいです。かかってきなさい。」

「ほう。ならば行くぞ!眼鏡の魔法少女!」


〜10分経過〜


「ば…バカな………難易度をあげて東大レベルの問題を出し続けているというのに……!」


百合絵は魔人が出すクイズを全て回答していった!

全問正解でもはや出すクイズが無くなったという表情の魔人!


「伊達に風紀委員をやっているわけではありませんよ?舐めないでいただきたいですね。(眼鏡くいっ)」

「ぐぬぬ……こうなったら人質を……あれ?いない?」

「ふふふ…気付くのが遅かったですね。」

「時間稼ぎありがとう百合絵さん!」

「よかったぁ助かったよ天空ちゃぁぁん!」

「うんうんやったね紅葉ちゃん!」


なんと!百合絵がクイズに答えている間に捕らわれていた天空と紅葉は翔によって無事に救出されていた!

百合絵が翔とすれ違う時に小さなメモ書きを手渡して指示していたのだ!


「あっ……なん……だと……。」

「ではかけr……ショーコちゃん。後は頼みます。」

「うん。これで終わりだ!ライトニング…スマァァァァッシュ!!!」

「グギャァァァァァァ!!!」


--------------------------------------

〜帰り道 〜


「あはは……正体隠しておかなきゃなのに思いっきり『百合絵さん』って言っちゃってたなぁ俺。」

「もうお兄ちゃん。気をつけないとダメだよ?百合絵お姉さんが記憶を消す魔法を使えてたから良かったけど。」


あの後、百合絵はその場にいた紅葉の記憶だけ魔法で修正してからその場を立ち去った。

非戦闘要員である百合絵は本来まだ現場で戦うことはダメだったかららしい。


だが本人曰く『翔くんが目の前で虐められているんですよ!?行くに決まってます!決まり?黙らっしゃい!』という勢いだったそうだ。


「紅葉ちゃんもあの騒ぎで疲れちゃったね。」

「あぁ。」


一方、紅葉は疲れて眠ってしまい。

今は翔がおんぶして移動している。


「お兄ちゃん。紅葉ちゃん起きたら今度は変身解かないとダメだよ?」

「わーってるよ。ったく何で俺がおんぶしなきゃいけないんだ。」

「頑張って。男の子でしょ?お兄ちゃん。」

「今は女の子だもぉ〜ん。」

「こらぁ。都合よく使い分けちゃダメ〜。」


ワイワイしゃべっている兄妹。


「すぅ……ありがとう……ショーコちゃん……むにゅう……。」

「え?」

「寝言かな?可愛いなぁ紅葉ちゃん。」

「やれやれ。大変な二日間だったぜ。」



こうして、翌日。

合宿から帰ってきたいいんちょー達が紅葉を迎えに来て、最後は紅葉が「いやだ〜!まだ遊びたい〜!」とわんわん泣きながらお別れをしましたとさ。



おしまい。


「魔法少女翔〜紅葉編 二次創作小説〜」

この作品の二次創作を投稿
Loading...Loading...Loading...