【本日の天気 雨、時々黄梅】( https://x.com/9376Hatks/status/2061105121896120590 )に参加させて頂きます!
2作目は逢真贋刻郷から目緋絲/香芙華のワンシーンです!
目緋絲は逢真贋刻郷、香芙華はアマルガメイツで行動いたします!
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マジナイの間違いで梅を降らせてしまった。明るいながらに申し訳なさを含んだ声に耳を傾けながら、逢真贋刻郷の山怪鬼はテーブルに紙を拡げて線を引く。彼女の頭の中には、郷の山の形が全て入っている。とはいえ、山とはそこにある命の総称であり、いつも同じ形をしているわけではない。その為、彼女が書き示しているのは現状の郷の形、というのが正しい。
「おはようございます、目緋絲さん。おや、その地図は?」
「おはよう、香芙華。今のところの郷の形を書きしていてな。因みにビックリマークが書いているあたりは、崖や川があるので注意が必要と思われる地域だ。他に逢真贋刻郷、というか山道に慣れていない人に、注意を促した方が良い場所はあるだろうか?」
「そうですね、少し拝見……私達は長く住んでいてある程度地形を覚えていますし、そうでなくとも木に登ったり空を飛んだりして全体を見ることも出来ますが……あ、この辺り。草木が密集しているので、外から来ると迷子になりやすいかもしれません」
「おお、そうだな。ありがとう、此処も気を付けてパトロールしておくぞ!」
きゅっと印を付けた地図に、破れや焼失、水に濡れて墨が流れ出ることを防ぐ呪術を施す。一枚の大きな地図を郷の掲示板に張り付けつつ、それより小さくて携帯しやすい地図を数枚作った。此方は逢真贋刻郷の外から来る人がいれば渡すのだろうと、香芙華はいつも通りに好奇心旺盛な鬼を眺めている。住民や旅人の安全確認を怠らない責任感を持ちつつ、目緋絲はすっかり状況を楽しんでいる。
「それにしても梅の雨が降るとは。ペレチさんも梅拾いロボットを学校に持って行ったのですよね?」
「ああ。同じように降っているかは分からないが、マジナイによる事故ならば学校でも降っている可能性はある、と言っていたな。降っていない場合は課外授業の植物採集などに転用するらしいので、意気揚々と持って行ったぞ」
「成程。では、私もアマルガメイツの事務所に向かいますね。逢真贋刻郷なら皆、梅の実が降ってきてものんびりと楽しまれますでしょうし」
逢真贋刻郷に住まう人々は、人慣れをしていない子もいるとはいえ、基本的にのんびりとした時間が流れている。いわゆる牧歌的、という言葉が似合うような、人と動植物、妖怪や神仏やそれ以外の命も、境界が曖昧な場所だ。日頃から宝石の原料となる鉱物を子供達がおはじき代わりにしていたり、外では珍しい植物の実が老人たちの手で保存食にされていたりする土地であるから、梅の実の奪い合いが起こることもない。
「全部を貰っても腐らせてしまうだろうから、保存食を作る分を頂いて、それ以上の実はお返ししようと思う」
「それが良いでしょうね。元々此処の人達はそこまで沢山量を食べる方々ではありませんし、元々の食性も振り幅が大きいですから」
「梅の実をお返ししつつ、何か知らない梅の食べ方などがあれば教えてもらおうと思っているんだ」
「ふふ、目緋絲さんたら楽しそう」
「楽しくはあるなぁ。薄らと暗い雨模様の空から、光るように柔らかい黄色や緑梅の実が降る様子はとても綺麗だ。痛まぬように拾ってみれば、ほのかに爽やかな香りもして、夏の始まりを前にワクワクしているんだよ」
だからこそ、皆も楽しくいられるように、大家さんを全うしたいと思う。好奇心にきらきらと輝く一つ目を楽しそうに細めて、目緋絲は自らの胸を拳でとんと叩いた。彼女以外にも守護者のいるこの郷は、平和にこの珍事を楽しみつくすことだろう。香芙華は自らが身を寄せる郷とそこに住まう人々を微笑ましく思いながら、自らも出勤の準備をする。
「アマルガメイツも、此処くらい平和ならば良いのですが。その辺りは行ってみないと分からないので、とりあえずは頑張ってきますね。目緋絲さんが梅で何を作っておすそ分けしてくださるかは、帰ってからのお楽しみということにいたしましょう」
「楽しみに待っていてくれ。香芙華は案外お酒もイケる口だからな、肴になりそうなものもいくつか用意しておきたいと思う」
「ありがとうございます。今から楽しみにしていますよ、お酒飲みにも嬉しい梅のお肴」
可愛らしく笑みかけて空へと翼を広げる烏天狗に、山怪鬼は「いってらっしゃい」と元気良く手を振るのだった。
【逢真贋刻郷の状態】
・のんびりとした土地柄、梅が降っていることに大きな混乱は起きていない。人慣れしていない種族の子は外から来た人を見ると隠れてしまうが、攻撃をする気はないので安心して梅の実集めをしてほしい。
・郷の中は「人々が想像する山の集まり」で山道になっている為、場所によっては切り立った崖のような斜面や荒れやすい川、噴火口などが存在する場所もある。不安な時には目緋絲に聞くと、安全な道の地図を貰える。
【それぞれの行動】
目緋絲:郷の大家さんなので、道に迷う子がいれば案内をしたり、疲れた子がいたらお茶に誘ったり。麦茶やシソジュースと共に、がんづきやら漬物やらを持ってくる。良い梅で保存食も作りたいので、返す分と貰う分をのんびり集める
香芙華:アマルガメイツでも降っているとのことで、ある程度の混乱を考えて仕事場に向かう予定。詳細は次回。