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ロボリス【プロローグ】

ずっと前から頭の中で固めていた、本シリーズの全ての始まりとなる出来事を、小説形式で書いてみました(小説ってこれで合ってる?)。一応ですが、この時代は60年代、本編の20年前の出来事なので、ファジィにアサフェス、ゴリアンとキバは存在していません(というより、ロボット自体が存在していない)。
 ちなみに、本作に出てくるロボットの外観は、漫画本編の第1話の設定コーナーに描かれています。

 自分がそのうち漫画化するかもしれないですが、それはいつになるのかは現時点では未定です。なので、どなたかが先に一枚絵でも漫画でも、二次創作していただいても構いません。むしろやって貰えると嬉しいです!(それぞれがこの物語を、どんな解釈や補完してくるのかが楽しみなので)

本作の二次創作や本編も、よろしくお願いします!

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ロボリス

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ロボリス(プロローグ)


 1960年の東京にて、活動家率いるデモ隊と機動隊の大規模なぶつかり合いが起きていた。デモ隊の攻撃は激しく、催涙弾に放水をしても奴らは掻い潜り、なかなか引こうとしなかった。

 日に々激しさを増してくる過激的なデモ活動。圧倒的に人数の少ない機動隊は、大声で叫びながら盾と警棒で反撃していたが、次第に疲弊してきていた。

するとその時、隊長がメガホンで叫んだ。

「後退ぃーーー!全隊員は下がれーー!」

機動隊員は一瞬、何で全員が?っと顔を合わせたが、すぐに指示通りに後退していった。この時は誰もが「また放水車を増やすのか」っと思っていた。デモ隊はチャンスだと言わんばかりに突撃してきた。が、目の前の「何か」を見た途端に立ち止まり、口を大きく開けた。

あいつらは何を見たんだ?デモ隊を見て疑問に思った機動隊員の一人、ジロウ隊員は後ろを振り向いてみた。

「なっ、何だ・・・・こいつは!」

最初は装甲バスに見えたが、すぐにバスじゃないと気づいた。どこにも窓が見当たらず、車体の横からは貸本屋で立ち読みしてた漫画に描かれてた鉄人の腕そっくりな棒・・・、いや、腕そのものが左右に生えているのだ!

「おいジロウ!サッサと避けねぇとコイツに殴られるぞ!」

隊長に怒鳴られたジロウ隊員はソソっと歩道に入って行き、また「コイツ」に目を向けた。

「殴られる・・・、やっぱりあれは腕なのか?」

遠目でよく見ると天井にはテレビ局で使われているカメラによく似たのがあり、その周囲をガラス板で覆われていた。

「ジロウ、あれは何なんだ?初めて見たぞ!」

同僚が自分に質問してきた。他の隊員達も初見なのかみんな驚いてた。

「分からない・・・。でも、なんか、まるで鉄人みたいだよな?」

「鉄人?あの28号のか?そう言われれば、たしかに似ている気がするけど、まぁアトムよりはそれっぽいかな?なぁジロウ、あいつどう使うか気にならないか?」

「えっ?そりゃあ、気になるけど、持ち場を離れる訳には・・・」

「みんなあれを見て呆然としているし、二人ぐらい抜けても大丈夫だろ?それに、あんなデカブツじゃ狙いの的だぞ?むしろ不安だと思わないか?」

「まぁ・・・、なら援護しに行くって事でいいのか?」

「そうだ、それじゃあ行くぞ!」

「あっおい、先走るなよー!」

二人は鉄人を追っていった。


「応援に来ました!鉄人の状況は?」

「鉄人?俺もコイツは今日が初めて見るんだが、技術班はロボットって呼んでいたぞ?まぁとりあえず、タイヤをガードしてもらえるか?あいつら集中的に狙ってくるんだ」

「ロボット・・・、了解しました!」

二人は右後輪を盾で塞ぐようにガードした。その間もジロウは前方を覗いてた。

ロボットは腕を大きく振りながら、デモ隊が作ったバリゲートを先端の指で挟んでは避けてを繰り返していた。机やイスにゴミ・・・、今度は自動車を両手で担いだ。

「すげぇ、車を持ち上げられるのか・・・」

ロボットの腕は、4車線を塞いでいたバリゲートをたった十数分で半分も片付けてしまった。人力ならもっとかかるのを。

すると、デモ参加者の一人が騒ぎ立てながらロボットへ走ってきた。

「あっアイツ、特攻する気か!?」

二人は彼を差し押さえようとするが、その前にロボットの腕が先に伸び、彼を掴んだ。

「はっ離せ!潰す気か!?」

男は叫んでいるがロボットはその手を話そうとはせず、ジロウ隊員の見た限りでは潰す気も無さそうだった。男を掴んだ腕は大きく上へ円を描くようにぐるっと回し、ジロウ隊員達の目の前にソッと下ろした。ジロウ隊員は男の身柄を確保しようとするが、男は突然の事に呆然としていて、何も抵抗はしてこなかった。

「サツ公よ・・・。あいつは何なんだ?」

「ロボット・・・、らしいです?」


 その場面を野次馬でいっぱいの歩道から、一人の新聞記者が覗き込んでいた。

「すごい・・・。バリゲートを一瞬で片し、車をも持ち上げ、さらには人を潰さずに掴める・・・、まるで鉄人だ!」

記者は無我夢中に道路を飛び出し、ロボットの正面へカメラを構えた。

「あっお前!何しているんだ!?」

「危険だ下がれ下がれ!」

機動隊員が止めに来るが記者は一歩も引こうとしない。

「これは世紀の大スクープになるぞ!日本の未来は明るい!」


カシャッ


【鉄人、現る!!】

翌日の朝刊の一面に大きく書かれ、横には記者が撮影したロボットの写真が印刷されていた。


これが、本作『ロボリス』の20年前の出来事であり、ロボットと人間が共存していく、ロボット時代の全ての始まりだった。


・ロボリス(プロローグ)        終わり

ロボリス【プロローグ】

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