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『魔法少女翔 〜心配!編(前) 二次創作小説〜』



「1」


〜朝 風穴家 リビング〜


俺の名前は風穴 翔(かざあな かける)!小学5年生!実は裏で妹の代わりに「魔法少女」として怪物と戦っているんだ!

正体を隠して悪を倒す……カッコいいよね!そう考えたら女の子になって魔法少女も悪くないんだよなぁ〜。


今日は学校もお休みの土曜日。

何もないから家でゆっくりしていたんだけど…。



「お兄ちゃん、明日って何か予定ある?」

「え?明日?」


ソファーでゲームをしていた翔に話しかけて来たのは妹の風穴 天空(かざあな そら)!

とんでもない魔力の持ち主なのだが、勘違いで天空の代わりに翔が魔法少女となったのだ。(第一話 ちんちんがない 参照)


「う〜んと…午後から魔法少女のアジトに行くだけ…かな?また凛さん達と「じょーきょーほーこく」をするために。」

「ふ〜ん、そっか〜。(カキカキ)」

「???」


メモ帳らしきものを手に何かを書きながら一人で納得している天空。

そして書き終えると…。


「…コホン。そういえばお兄ちゃん。昨日、冷蔵庫にあった私の作っ…取っておいたケーキ食べたでしょ?」

「えっ。あれって天空のだったのか?わりぃわりぃ。」

「……もぅ!ちゃんと反省してるのお兄ちゃん?」

「してるよ。謝ってるだろ?」


ゲーム画面から目を離さず話し続けてる翔。

そんな翔の態度を見てふくれっ面で睨む天空。


「謝るときはちゃんと人の目を見なきゃダメなの!もう!お兄ちゃんなんて知らない!」


ズカズカとリビングから出て行く天空。

チラッと横目で出ていった方向を見る翔。


「急に何なんだ天空のやつ…?あんなに怒らなくてもいいじゃん…。」




数時間後…。




「…kける。…ほら翔!いい加減起きなさい。家でゴロゴロばかりしてないで。」

「ふぁ〜………ふぇ?」


起き上がる翔。

どうやらゲームをしたまま寝てしまったみたいだ。


「暇なら夕食の材料を買ってきてちょうだい。はいコレ。買い物袋とメモ。」

「え〜?めんどくさいなぁ〜。……天空〜?」


大きな声で天空の名前を呼ぶが返事がない……。


「アイツまだ怒っているのか?」

「天空ならさっき出掛けたわよ。」

「ちぇ〜。じゃあ俺1人か。」

「男の子なんだからグチグチ言わない。」


(シュン!)

身体だけ魔法少女に変身する翔。


「今は女の子だもん。」

「はいはい。可愛くなってもお母さんには無意味よ。余ったお金でお菓子買っていいから、早く行きなさい。」

「はぁ〜い。」


「2」


〜スーパー ユニバース〜


変身を解いて男の子のままスーパーで買い物をする翔。

片手に買い物袋を持ちながらメモ帳を見ている。


「え〜っと、いなだに串つぶ(加熱用)と牛乳……あと小麦粉……何処にあるんだ?」

「あら?翔じゃない。翔〜!」

「え?いいんちょー?」


歩いていた翔に話しかけてきたのは翔のクラスメイトで学級委員長の「剣吉 茜(けんよし あかぬ)」。通称、いいんちょーだった!

翔と同じで買い物袋とメモ用紙を手にしている。


「珍しいわね。翔が1人でユニバースに来るなんて。お母さんと一緒じゃないんだ?」

「ただのお使いだよ。夕食の材料を買って来いって。天空のやつが一人で何処か行っちゃうからさ〜。」

「………え?」

「ん?どうしたのいいんちょー?」

「あ…。な・何でもないわ。1人で偉いわね〜翔。」


翔の頭を撫でるいいんちょー。

だが驚いた翔がすぐに後退りして離れてしまう!


「ちょ…何するんだよ!?1人でお使いくらい出来るってば!」

「アハハ、照れちゃって〜。翔って私より背が低いから撫でやすいんだもん。」

「何だと〜!」


顔を真っ赤にしてプンプン怒る翔。

いいんちょーがひとしきり笑ったあと……。


「ごめんごめん。許して翔。代わりに頼まれたもの探すの手伝ってあげる。」

「え?…いいよ別に。」

「どうせ翔ってば、家族でスーパー来るときはすぐにお菓子コーナーに行って遊んでいるから、他のコーナーがどの場所にあるか分かってないでしょ?」

「………………………わかるもん。」


図星のようだ。


「はいはい。強がらない強がらない。ほら一緒に行こ?翔。」

「うわっ。手ぇ引っ張るなよいいんちょ〜!」



〜 数十分後 ユニバースの外〜



いいんちょーのおかげで無事頼まれた品物を買えた翔。

買い物袋を片手に持っていいんちょーの方を振り返る。


「サンキューいいんちょー。助かったよ。」

「どーいたしまして。……よいしょっと。」


一方、いいんちょーはレジ袋の中をパンパンにしている。しかも2袋。


「いいんちょーの沢山あるな。別れ道まで一個持とうか?」

「ありがとう翔。じゃあ平等に……取っ手の半分持って。」

「はいよ。」


並びながら帰り道を歩く2人。


「そういえば…いいんちょーは天空を見かけなかった?」

「え!?………見かけてないわね〜?」

「そっか。」

「何かあったの?」

「昨日女の子で夜に…じゃなくて夜中に小腹が空いちゃってさ。冷蔵庫にあったケーキを食べちゃったんだ。美味しかったんだけどソレは天空の物だったらしくて…。」

「へぇ〜なるほどね。勝手に食べちゃったんだ。」

「うん。それで今朝、天空が怒っちゃってさ。」


改めて自分がした事を口に出して話すと、ホントに悪いことをしてしまったな…と理解し反省する翔。


「ちゃんと謝った?」

「謝った…けどちゃんとは謝ってない…かも。」

「じゃあもう一回ちゃんと謝らなきゃ翔。」

「分かってるよ。でも天空、怒って何処か行っちゃったし…許してくれるのかな?」

「………大丈夫よ。」

「へ?」

「翔と違って天空ちゃんは良い子だから。ちゃんと謝れば許してくれるわ。」

「いいんちょー…。ありがとう。でも俺と違ってってのは余計だろ。」

「にしし。」



「3」


〜風穴家〜



「え?天空が今日帰って来ない?」

「えぇ。さっき天空のお友達から連絡が来てね。今日は泊まっていくらしいわ。」

「そっ…か。」


夕食が2人分だったので不思議に思った翔がお母さんに聞いたらそう返ってきた。

謝りたかったのに…と少し落ち込む翔。


「どうしたの?天空が居なくて寂しい?」

「さ・寂しくなんかないよ!俺もう小五だよ?それにお兄ちゃんなんだから…ちょっと心配になっただけだし…。」

「うふふ、そうね。翔は優しいお兄ちゃんね。」


天空がいない風穴家の夕食。

翔は何か物足りなさを感じながらパクパク食べるのだった。

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〜夕食後 翔の部屋〜


翔は魔法少女として強くなるために、日々女の子を磨く特訓をしなければならない。

だから翔は今日も家で「女の子になって」、「女の子の服」を着ている。


「えへへ。今日のコーデも可愛いくできたな〜。これにはオジサンたちもイチコロでしょ。」


鏡の前でクルッと回る翔。


「あっ。もしかしたら天空の持ってるパーカーと組み合わせたらもっと可愛いかも。天空〜!」


自分の持ってない女の子の服は天空とシェアしているのでいつものように天空の部屋へ向かう翔。


「(コンコン…ガチャ)天空〜お前の持ってるパーカーでさぁ……………あっ。」


天空の部屋に入った時にようやく今日は家に天空が居ないことを思い出す翔。


「………仕方ない。勝手に妹の服を取っちゃうのはイケナイし。今日の特訓はここまでにしよう。」


そのままお風呂に入ってパジャマに着替える翔。

歯を磨いて自分の部屋に戻ったらすぐベットへGO!


「………明日の午前中には帰ってくるだろうってお母さん言ってたし。アジト行く前に謝れればいいや。」


なんとか自分に言い聞かせてはいるが心のモヤモヤが晴れない翔。

天空が居ないことの不安が消えない。


「天空………。」


そのまま眠りに落ちる翔。

だが次の日。その不安がさらに増す事となるのは…翔は知るよしもなかった。



「4」


〜朝 風穴家リビング〜


女の子のまま寝てしまい、そのまま一階に降りて来てお母さんの作った朝食を食べてる翔

ボーッと食べてる翔の隣でお母さんが電話をしている。


「えぇ、はい。天空がお世話になりました。……えぇ。………え?ホントですか?…分かりました。はい。ありがとうございます。」

「???」


少し動揺している翔ママ。

その様子が気になる翔。


「どうしたのお母さん?天空はいつ頃帰って来るって?」

「え〜っと…翔。それが天空ったらまた何処かへ行っちゃったらしいのよ。」

「え???」


まだ天空が帰って来ないと知り、さすがに焦る翔。


「困った子ね〜。翔、確か今日は出掛けるのよね?もし天空に会ったら早く家に帰ってきなさいって伝えてくれる?多分、町を出てはいないはずだから。」

「う・うん。分かった。」


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〜空の上〜


魔法少女のアジトに行くのは午後からなので、午前中に天空を探しに出掛ける翔。

魔法少女に変身して空から探し始める!


「歩いて探し回るのはさすがに厳しいからな。こんな時、魔法少女でいて助かったぜ。」

「あ〜!ショーコちゃんだ!」

「ホントだ!飛んでる!今日も可愛いぞーショーコちゃーん!」

「あっ………えへへ。」


空から天空を探している翔(マジカルショーコ)を見て住人たちが歓喜している。

手を振ってそれに応える翔。


「……っと!今はこんな事してる場合じゃなかった。どこだ〜天空のやつ?………ん?あれって…。」


いつも遊んでいる高館東公園でいいんちょーと妹の紅葉(もみじ)。そして翔の友人である隼人(はやと)や優(ゆう)たちが何かを話している。


「何やってるんだアイツら…?ちょっと聞いてみるか。」


気付かれないように空から近くへ着地して変身を解く翔。

そして走って声をかける。


「おぉ〜い、皆〜!」

「……え?翔!?」


急に現れた翔にビックリするいいんちょー達。


「なんだよ皆。そんなに驚いて…。」

「な・何でもないわ?ねぇ隼人くん?」

「そ・そうだよなぁ?いきなり声かけられたからビックリしたぜ翔。」

「??? まあいいや。それよりさ、天空がどこにいるか知らない?昨日からずっと帰ってないんだ。」

「え?天空ちゃん?」


知ってる?知らない?とザワザワし始める皆。

そんな中、紅葉ちゃんが翔に話しかけて来た。


「天空ちゃんならお買い物しに行ってくるって言ってたよ?」

「あっ!ちょ…紅葉!」

「ホントに!?何処へ行ったか知ってるの?」

「ラピア!」

「え?」

「そっか!ありがとう!……というか「言ってた」ってこと……紅葉は天空と会ったのか?」

「うん!え〜っとね……むぐぅ!?(口を塞がれる)」

「ほ・ほら翔!天空ちゃん探してるんでしょ?早くラピアに行かないと!」


何故か紅葉の口を塞いで苦笑いをするいいんちょー。


「え?でも……。」

「そうだぜ翔!早く行かないと天空ちゃんまた何処か行っちゃうぜ?」

「善は急げ!だよ翔?」

「隼人…優…。分かった。ありがとな、皆!」


公園を後にする翔。

離れたら再び魔法少女に変身して空を飛ぶ!




「もぅ!紅葉…………ペラペラ喋り過ぎててヒヤヒヤしたわぁ。」

「何で〜?天空ちゃん、昨日はウチに泊まっていったのに。」

「天空ちゃんが言ってたでしょ?翔には内緒なの。」

「でも…ちょっと可哀想だよ。天空ちゃんのお兄さん。」

「アハハ、紅葉ちゃんは優しいなぁ。」

「でもそうだね。翔くんには悪いことしちゃったね。」

「いいのよ。学校ではいつも調子乗ってるんだから。さぁ皆、話が途中だったけど………よく聞いてね。次の……」




果たして、翔は天空を見つけ出しちゃんと仲直り出来るのか!?

そして天空はいったい何処に!!??



後編へつづく

「魔法少女翔〜心配!編(前) 二次創作小説〜」

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