Loading...

それは宇宙を渡り、時空を渡り、世界線を渡って旅をする。

その身一つには様々なテクノロジーがある。

様々な体験と記憶がある。

そして“それ“自身にすら知りえないものすらある。

それは一つの信念を持ち、一つの目的に向かって行動する。

故にそれは旅をする。

文明を求め、目的を探しにそれは旅をする。

それは一つの星に目星をつけて、それはゆっくりと降り立った。

地面を捕え、着陸態勢に入る。

それは地面を捉えると、慣れた様子で足を‥

ゴッ、ガシャン!ミシミシミシ…

…滑らせめり込ませて、強烈な音を立ててそのまま地面にめり込んだ。

「あーもうちきしょう、また計算間違えちまった。うー、足の破損だけじゃ済まないか。というかロケットボディまで派手に故障したみたいだな。これは」

呆れの混じった声をあげながらも無事に残った腕を使い、体を引っこ抜くとTの字に寝そべった。

一瞬両足が、次に体が放電すると壊れた鉄の体が消え、代わりに立派な人間の体がそこにあった。

ついでと言わんばかりに残りも同じものに変え、それの見た目はすっかり人間と同じになった。


(まぁ、手っ取り早いのは人間に会うことだな。が、星の様子からして機械文明が発達している様子は無かったから目的は諦める方がいいか。)

起き上がって辺りを見渡す。

(が、遠景から砦と街が見えたな。観測できるエネルギーから見て魔法寄りの技術が存在すると考えていいだろうな。世界規模でのいざこざも今のところは無さそう…ではあるが。)

そう考えると左手を握り、じっと見つめる。近くの木にそれを向けると左腕が帯電を始め、やがて拳の形をとって放たれた。

(こいつは故障してないか。いざという時のためにも使えるとありがたいからな…)

腕に武器は内蔵されているが殺傷能力は無く、大砲などと言った武器を無力化するためにそれは最適化されている。

ただ、なぜこれを持っているのかは彼自身よくわかっていない。他に殺傷能力のある武器自体が装備されていないため、どうやら単純に戦闘用として作られたわけでは無いらしい。

しかし、彼自身は楽天的な性格付けがされていながらその思考には“殺意が湧く”という概念が存在することも分かっている。それゆえ出自はおろか製造目的の予想さえままならず、その究明のために旅をしているといっても過言ではない。

話を戻そう。左腕の武器が使えることにひとまず安心すると彼はふと気付いて上着とズボンを羽織り、一旦の目標として先程存在を確認したその街に向かって歩き出した。

Loading...
Loading...Loading...Loading...