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「魔法少女翔〜サプライズ編 二次創作小説〜」


「1」


〜土曜日 アジト〜


俺の名前は風穴 翔(かざあな かける)!小学5年生!

妹の代わりに魔法少女をやっているんだ!…男なんだけどね。

最初はかなり弱かったんだけど修行して強くなって、今じゃこの街のヒーロー(ヒロイン)なんだぜ〜!


今日はアジトでちょっとした準備をしているんだ。若菜達と。


「よ〜しよしよし。可愛いよ〜翔。メイクもばっちり!あとはキャプテンが来るの待つだけだね。」

「翔が可愛いのは当たり前よ。ほら馬鹿菜、私たちはそろそろ隠れるわよ。」

「オッケーちさちさ。翔、後は台本通りに!頑張れ〜!」

「う・うん。」


翔から少し離れた場所で魔法を使い、透明化する若菜と千紗。

そして翔は姿鏡の前まで歩いて自分を見てみる。


「いやぁ改めて見ると……可愛いくなってるなぁ。千紗姉たちって本気出すとやっぱりすごいや。」


千紗と若菜がコーデした最強ファッションを身に纏い、キャプテンこと『櫛引 凛』と「デート」をするため待機する翔であった。



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〜数日前 同じくアジト〜



凛とうみねこはお出掛け中。

アジトで翔・若菜・千紗がある話し合いをしていた。


「………え?俺が凛さんとデートを!?」

「そう!頼むよ翔!キャプテンのために!」

「私からもお願い!それしか思い浮かばなかったの!」


どうやら若菜と千紗で「魔法少女」と「生徒会長」で普段から忙しい凛に、いつもお世話になってるお礼を…何かしてあげたい!と考えていたらしい。

その作戦の要に、翔が選ばれたのだ。


「そりゃあ俺だって凛さんにはお世話になってるし、何かしたいとは思うけど。凛さんとデート……か。」

「あっ。顔赤くなってる。かーわい。」

「ちょっと翔。私とのデートの時は全然いつも通りだったじゃない。何よ凛姉の時はその反応って〜!」

「いやいやそりゃ〜ちさちさじゃ……」

「あ゛っ?」

「何でもありません。」


モジモジしていた翔だが意を決して顔をあげる。


「分かった!凛さんのためだもの。俺頑張るよ!」

「よっしゃあ!サンキュー翔!」

「じゃあまずは…」

「「デートの服選びね!可愛いので。」」

「え?」

「「え?」」


2人の言ってることがいまいち理解できてない翔。


「えっ?俺男だよ?可愛いのじゃなくてさ…どっちかっていうとカッコいい服を…。」

「あ〜そういうのじゃないから。女の子同士のデートね。女の子同士の。」

「え゛っ?」

「というわけでちさちさ〜?ここはキャプテンのためにも、ファッション同盟を組もうじゃないか。」

「普段だったらお断りだけど…凛姉のためだものね。いいわよ。」


固い握手を交わす魔法少女2人。

そろ〜りと逃げようとする翔だが…!


「あら〜翔?どこ行くのかしら?」

「うっ……あ・遊ばれる…!」

「大丈夫大丈夫、安心しなって翔〜。さぁ…観念しろ〜!」

「ヒィっ!」


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〜そして現在 アジト〜



(コンコン)


「あっ!来た!」

「入るぞ翔。待たせたな。」


今日の主役である凛がアジトへやって来た。

お出掛けしたいと翔から連絡が来ていたので凛も私服姿だった。


「ん?今日は随分と気合いが入っているな。化粧までしてるじゃないか。天空ちゃんがやってくれたのか?」

「え〜っとコレは天空じゃなくて…その…」

「?」


モジモジする翔。

一方、隠れている若菜と千紗は、


「(ヒソヒソ声で)今だ翔!そこであのセリフあのセリフ…!」

「(ヒソヒソ声で)シャッターチャンス…!カメラカメラ…!」


ギャラリーとして楽しんでいた。

そして翔は思い切ってトテトテと小走りしながら凛に抱きつく!


「おっと、翔?」

「り・凛お姉ちゃん。今日はおr…私と一緒に…デ・デートしてほしい…な?(上目遣い)」

「………………………………………。」


目を見開き硬直する凛。

透明状態でガッツポーズする若菜と千紗。

セリフを言い終えて顔が真っ赤になる翔。


「な・なるほど、デート…デートか。もちろん良いぞ。私なんかでよければ。」

「なんかだなんてそんな、凛さんだからだよ?」

「………ははっ、嬉しい事言ってくれるじゃないか。まったく可愛いやつめ。」

「え・えへへ。やった。」


抱きつかれたまま翔の頭を撫でる凛。

その顔はデレッデレだった。


若菜と千紗は…。


「(ヒソヒソ声で)さすがキャプテン!実はさっきから終始鼻血出してるのにあくまで冷静を装い続ける!そこに痺れる憧れるぅ!」

「(ヒソヒソ声で)ハァ〜可愛い…可愛いわ翔。」

「そりゃ〜あんな美少女があんな風に来たら女同士でだってドキドキしちゃうからねぇ〜。まぁそう仕向けたんだけどね!この若菜さまが!」

「今回は素直にグッジョブよ、馬鹿菜。」

「こんなに仕事しても馬鹿外してくれないのぉ〜!?」

「あっ!翔たちが外に出たわ。追うわよ!」

「ブ!ラジャー!」

「うっさい。」



「2」


〜百合BOWL(ボーリング場)〜



「ほう。確かここは……翔が若菜たちとゲーセンで遊んでいた場所か。(第16話 女遊び参照)」

「うん。でも今日はゲーセンじゃないよ。ボーリングやろ!凛さん!」

「ボーリングか。そうだな、久しぶりに身体を動かすのも悪くない。」

「よ〜し行こう行こう〜!」


受付に向かう翔と凛。

一方、若菜と千紗は…………。



「ちょっと馬鹿菜。何でいきなりボーリングなの?凛姉が最近忙しいし疲れてそうだからデートを企画したんじゃないの?」

「ちっちっち。分かってないなぁちさちさ〜。キャプテンの事だから体調管理とかは自分で調整できてるはずだって。だから〜…」

「身体じゃなくて精神的な方で…ってこと?」

「そ〜そ〜。色々なストレス発散方法を考えてみたんだけど、コレが1番盛り上がるはずだし楽しいっしょ?」

「………意外と考えてるのね。今日、槍でも降るのかしら?」

「ひっどい!」


ちなみに2人ともグラサン・茶色コートで片手に牛乳パンを持ちながら刑事風に変装していた。

離れた場所で見守っている。


そして翔と凛のボーリングが始まった。


「………ふっ!」


ガコン!!!


「おぉ〜ストラ〜イク!さすが凛さん!」

「うむ。腕は鈍っていないようだな。」

「よ〜し、じゃあ俺も!」


ボーリングの玉を持つ翔。

玉が重いからなのかヨロヨロしながらレーン前に立つ。


「大丈夫か翔?もっと軽い玉でいいんだぞ?」

「お・重い方が強そうだもん…!」

「まったく………ん?…ふふっ。」


一瞬、イタズラ顔になる凛。


「よ〜し。」

「待て翔。男に戻れば投げやすくなるのではないか?」

「え?…………あぁそうか!ありがとう凛さん!」


(シュン!)


変身解除して男に戻る翔。


「……ふふっ。」

「よ〜し、えい!」


ガコン!


「やった〜俺もストライク!どうどう?見てた〜?凛さん!」

「あぁ。バッチリ見てたぞ。可愛らしいフォームだった。」

「え?かわ…?あぁ!?」


そう。身体は元に戻っても服は変わっていない。

翔は男で女の子の格好のままボーリングをしていた!


すぐ女の子に変身する翔。


「ひどいよ凛さん!なんで教えてくれなかったの〜!誰かに見られたら俺変態だよ…。」

「ハハハ、すまんすまん。つい思い付いてしまってな。」

「もぅ!若菜みたいな事して〜!」


一方、若菜と千紗は。



「キャプテン……。」

「凛姉ぇ……。」


親指を天高く上げながら、


「「グッジョブ!!!」」


遠くから凛に感謝の念を送っていた。



「3」


〜根城付近 リラクゼーションサロン〜



次に翔たちがやって来たのはボーリング場からバスで少し行った場所にあるサロンだった。



「ここは…?何故翔がサロンを知っているんだ???」

「え〜っとコレ。前に千紗姉から貰ったんだ。俺よく分からないから誰かと一緒に行きたいな〜って思ってて。」

「どれどれ…ふむ。優待券みたいな物か?しかも最上級コースが体験できるヤツじゃないか!?」

「え!?そうなの?」

「千紗のやつ。小学生に何を渡しているんだ…しかしまぁせっかくだ。ありがたく使わせてもらおう。私も初めてで興味があるからな。」

「やったー!じゃあ入ろう凛さん!」


お店に入る翔と凛。

一方その頃、若菜と千紗は…。


「ねぇちさちさ〜。私たちもお客さんとして中に入れば良かったんじゃない?ってかサロン私も行きたい。」

「普通にバレるでしょ。ダメよ。ここで追跡してた方が安全よ。」

「ここ……ちさちさん家の車だけど。」


駐車場にて、根城家のリムジンの中にいた。

翔に付けたGPSと○聴器で様子を伺う2人。

千紗はノートパソコンを使って色々何かしている。


「お店の人にも協力してもらえて助かったわ。じいや、あとでまた何かお礼をお店に送っておいてちょうだい。」

「かしこまりました千紗お嬢様。(運転席から)」

「多分、地主さんがいきなり訪ねて来てお店の人もビックリしたんだろうなぁ。」

「そんな事ないわよ。ここは私のお気に入りのお店だから。凛姉に体験してもらう以上は妥協しないわ。」



〜数十分後〜


「っや…!…んっ!」

「ははは、どうした翔。ちゃんと力を抜いて。」

「む・無理だよぉ凛さん…!んあっ!」

「子供にはまだ早すぎたな。じゃあ私は別の部屋だから、また後でな翔。」

「ま・待ってよ凛さ〜ん。」


(※翔が店員さんにマッサージを受けてるだけです。)


一方、その頃(以下省略)



「………ふぅ。声だけだとコレやばいねぇ〜ちさちさ!」

「ふふふ、良い声で鳴くわね〜翔。また新たなコレクションが増えたわ。」

「それ目的かよ…(ドン引き)。やってるの『普通のマッサージ』なんだけどねぇ。」



〜また数十分後〜


「ありがとうございました〜。」


ご満悦・肌ピカピカ状態で店内から出てきた凛。

その後ろから疲れた様子で出てきた翔。


「うむ、さすが千紗のお墨付きだな。おかげで身体が楽になった。」

「よ・良かったね…凛さん…。」

「おいおい翔。無理して私と同じコースにしなくてもよかったんだぞ?」

「えへへ…くすぐったかったから大変だったけど。マッサージのお姉さんにずっと笑われちゃった。」

「ふふっ、そうか。じゃあ翔が大きくなったらまた次リベンジだな。」

「うん。また千紗姉にお願いするよ!」


再びバスに乗って移動する2人。

その後ろから車で追跡する若菜・千紗。


「よ〜しあと一箇所だ〜!先回りして準備するぞ〜!」

「えぇ。そろそろ……私もすいてきたわ。」

「おやまぁ〜大丈夫だよちさちさ。『味見係り』に任命してあげるからさ?」

「……………今日のアナタ、本当にあの馬鹿菜?」

「若菜だよ!」



「4」


〜種差海岸 休憩所カフェ〜


バスと電車で移動して1時間ちょっと。

翔と凛は海が見える種差海岸へやって来た。

実はお昼ご飯を食べずにずっと行動していたので、到着してすぐに近くのカフェでお茶をしている。



「飲み物だけでいいのか翔?お腹が空いているなら…。」

「だ・大丈夫だよ凛さん。気にしないで、俺リンゴジュース大好きだから!」

「??? そ・そうか。」


翔はもちろんお腹がすいている。だが食べない。

「ある連絡」を待っているからだ。それが最後のサプライズ…!


「それにしても翔。そして千紗や…若菜には感謝しなければな。」

「感謝だなんてそんな。マッサージのは…たまたま千紗姉から貰って…。」

「では若菜は最初のボーリングか。」

「う・うん。ホントは若菜もやりたがっ……あっ!?」

「ふふっ、焦ったな翔。」


空腹でボーっとしてたのか、自分の失言に今更気付いた翔!

凛はそれを聞いてヤレヤレと言った表情で笑っていた。


「あ〜バレたぁ〜……。」

「さすがに気付くさ。そう落ち込むな翔。」

「でも悔しいよ。凛さんには最後までサプライズで通したかったのに。」

「サプライズ?もしやまだ何かあるのか翔…?」

「あっ!」

「?」


首から下げていたネックレスから振動がした。『合図』だと気付く翔!


「り・凛さん!最後に海岸の先まで来てほしいんだ!いいかな?」

「え?わ・分かった。」



〜歩いて数分後 キャンプ場〜


「………コレは!」

「お・お待たせ!若菜!千紗姉!」

「おぉ翔〜!お前〜最後に私達の事バレたなぁ〜?」

「ご・ごめん若菜。」

「まぁ凛姉なら途中でバレて当然よね。でもコレは…分からなかったでしょ?」



なんと!

海岸近くにあるキャンプ場で若菜と千紗(根城家手配の黒服ボディーガード+シェフ)が、大量の食事を用意して待ち構えていた!

パーティー会場だ!



「キャプテンのために私とちさちさん家のシェフの方々でたくさん料理作ったんっすよー!ほら!はやくはやく!」

「どうぞ凛姉。私がご案内するわ。ほら、翔もいらっしゃい。」

「すげぇ〜!もうお腹ペコペコだよ〜!」

「…………ははっ。感無量とはこの事だな。」


席に座る凛たち。

若菜が乾杯の音頭をとるためジョッキ(烏龍茶)を持ちながら立つ。


「え〜…この度は〜キャプテンへのサプライズパーティーにご参加いただき〜…」

「「早くしろ(しなさい)若菜(馬鹿菜)…。」」

「ちさちさはともかく主役にまで急かされた…!?酷いよぉ…ヨヨヨ…。」

「はぁ。翔、代わりに乾杯してくれないか?」

「え!?俺?……え〜っと…。」


立ち上がる翔。

深呼吸をしてジュースを高く掲げる。


「凛さん!いつもお疲れ様!いつもありがとう!乾杯!」

「「「「乾杯(プロージット)!!!」」」」


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〜根城家のリムジン内〜



パーティーが終わりすっかり夜に。

魔法少女組の皆を家まで送り届けるため、またリムジンを手配した千紗。

凛と千紗は起きているが、翔と若菜は疲れていたからか2人で仲良く爆睡している。


「…良い休日になった。ありがとう千紗。」

「よかった凛姉。楽しめたようで何よりだわ。」

「翔とデートとは…最初驚いたよ。千紗と若菜の仕業だともすぐ分かったが。」

「うぐっ……やっぱりそうよね〜。」

「…私のためにと言っていたが。まだ何か隠している事があるな?千紗?」

「え?」

「今は翔も若菜も寝ている。……話辛いか?」


凛から目を背けてしまう千紗。

凛は真っ直ぐ千紗を見つめている。


「…はぁ。ほんっと、凛姉には敵わないわね。」

「お前たちの先輩だからな。それで、どうして今回…ん?」

「…………だって…凛姉……今年で……っ。」

「!!!」


涙目になっていた千紗を素早く抱き寄せる凛。

千紗は驚いたが、声を押し殺して顔を凛の胸に埋めた。


「分かった。それ以上は言わなくていい。……優しいな千紗は。ホントに先の事までちゃんと考えてくれている。」

「(無言で首を振る)」

「ありがとう千紗。ありがとう。…お前も少し寝るといい。おやすみ。」

「凛…姉…。」


凛は頭を支えていた右手で魔法の力を使い、千紗をゆっくり眠らせる。

それを一部始終聞いていた運転席のじいやが声をかけてきた。


「ありがとうございます。櫛引さま。」

「じいやさん。こちらこそありがとうございました。」

「お嬢様はこの日のために前々から準備をしておりました。それはもう疲れを忘れるほど真剣に…。最後に櫛引さまのお言葉を聞けてようやく楽になれたかと思います。」

「………幸せ者ですね。私は。」

「どうかこれからも、お嬢様と仲良くしていただけますでしょうか。」

「当然です。この子たちは、私の大切な…大事な仲間ですから。」



そう言って凛は翔の寝ている隣へ。

翔のほっぺをプニプニ触る。


「翔、今日はお疲れ様。最後まで…よろしくな。」



おしまい





「ねぇ、ワシの出番は???なんでハブかれたんじゃ!?ねぇ!?」

「うるさいですうみねこ。私達はお留守番ですよ。風紀委員だって空気は読みます。アナタも大人しくしなさい。」

「にゃんでぇぇぇぇぇぇ〜………」


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