梟を駈る餓狼
書き溜めの種類ばかりが増えていく今日この頃。
R-TYPEに触発されてから巡りめぐって割と関係の無いストーリーを試作。
…まぁ、今回掲載分までしか書けてないわけではありますが。
梟を駈る餓狼
書き溜めの種類ばかりが増えていく今日この頃。
R-TYPEに触発されてから巡りめぐって割と関係の無いストーリーを試作。
…まぁ、今回掲載分までしか書けてないわけではありますが。
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有象無象達の愉快なエピソードタグ
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―ウォーテル宙域には、魔物が潜んでいる
―その魔物は飢えた心を駆り立てて潜む牙を疼かせ…
―人々は再び力を振りかざし身を護ることを強いられた。
―力を持たざる者は星を渡るために強者を頼らざるを得なくなり‥
―強者はやがてその身分を”傭兵”として今に至る。
レイビスもその傭兵の一人である。
先に語った言い伝えを追って愛機”ストレッグス級小型艇“を駆る、この世界においてはありふれた来歴を持ちながらその腕は憧れ上がりの人間としては頭一つ抜けており…
「っくショウ、本物の“黒梟”に捕まるたぁ運がねェ…」
「しっかり罰受けて出なおすんだな、あぶれ宙賊サンよ。それに汎用機使いの名手じゃ界隈には俺越えなんて珍しくもないさ。」
遂には通り名を貰うまでに至っている。
…もっとも宇宙運用を想定した機体色を選びながら、二つ返事に依頼を受けるせいか大気圏内の青空を飛び回る機会が多くなったために目立つようになったことがそう呼ばれる要因である。
それでも実力者の通り名として覚えられ程度には高い腕を有するとも言えるのだが。
ともかく。
レイビスは惑星タラスの荒野地帯に居た。
愛機を背に、その手には壮年の男の手を縛っていた縄が握られていた。
「今どき縄で拘束するとは、黒梟もカネが無いのな…」
「人質取られて宙賊やらされてたアンタに比べりゃ呑気なモノさ。弾切らして肝を冷やす心配が無くなる、なんて甘い誘惑に負けて空腹を我慢してるんだからよ…」
そんな話をしている間も、レイビスの腹は間の抜けたぐぐぅという音を鳴らす。
何度も鳴り続けているせいか、ついに男が溜息を吐きながら
「こんな情けねぇ奴に捕まったのか、俺は…」
「でなきゃこんな安上がりなモデルを安上がりなカスタムのまま使い続けねぇだろうよ。
腹立たしい謂れだが、性根で言えば宙賊の一歩手前だとさ。」
「タラスに籠ってるから。っと?」
男につられてレイビスが顔を上げると、3隻の中型艇がこちらに向かってくる。
「タラス軍にアンタを引き渡せば俺の仕事はひとまず終わり‥か、メシでもせびるか。」
「宙賊の一歩手前‥なるほど‥」
そう呟きながらレイビスの方を向けば、薄く睨む視線。
気圧されて元の方角を向くと、隣から多少の呆れ笑い。そして
「どっちつかずの時代に荒事で稼ぐ人間だ、気の赴くままに首突っ込んでその場を楽しむような生き方に染められたって可笑しかぁ無ぇよ」