『魔法少女翔〜百合絵さん編 二次創作小説〜』
「1」
〜休日 魔法少女のアジト(プレハブ)〜
俺、風穴 翔(かざあな かける)!小学5年生の男子!そして妹の代わりに「魔法少女」やってるんだ!変身したら「女の子」になるんだぜ!
魔法少女として強くなるためには俺自身が女の子を磨かなきゃいけない。だから今日もアジトで女の子の修行頑張るぞ〜!(既に身体だけ女の子に変身状態)
「(ドアを開ける)こんちわ〜。アレ?今日は誰もいないのかな…ってえっ!?」
「いらっしゃい翔くん。また会いましたね。」
アジトのソファで座っていたのは、メガネを掛けた風紀専門の特別な魔法少女、「鮫 百合絵(さめ ゆりえ)」だった!私服で何故かサメのぬいぐるみを抱き抱えている。
以前、翔たち魔法少女の風紀の乱れを正すためにうみねこ(マスコット的存在)によって新たに登場した風紀の申し子にして現役女子高生魔法少女である。(第24話 総集編 参照)
「ゆ・百合絵さん。こんにちわ。」
「えぇ、こんにちは。ちゃんと挨拶が出来て偉いですね。…また百合絵お姉ちゃんと呼んでくれないのは残念ですが。(小声)」
「?? どうしてまたここに?もしかして…」
「いえいえ、今日は魔法少女としてのお仕事ではありません。うみねこに確認してもらって翔くん以外の魔法少女達が魔獣退治に向かってる時間を狙って来ました。」
「な・何故ですか?」
「え〜っと…ですね〜。翔くんにa…いえ、何でもありません。」
「??」
「そ・それより折角ですからお話でもしませんか?ほら、隣にどうぞ。(ポンポン)」
「あ、はい…。」
ソファの隣にと催促されたが遠慮して近くのイスに座る翔。
それを見てちょっとシュン…ってなる百合絵さん。
だが気を取り直して、
「そういえば翔くん。さっきから変にギクシャクしてますけど、もしかして緊張してます?」
「えっと…だって百合絵さん、フーキ?のすごい人なんでしょ?敬語とかちゃんとしなきゃ…怒られちゃうって思って…。」
「………ぷっ!ふふふ。」
翔の返答に思わず吹き出してしまう百合絵さん。
それをみて「?」マークが頭に付く翔。
「翔くん。「風紀」というものがまだよく分かっていないようですね。わかりました、少しだけレクチャーしてあげましょう。お勉強というほどの事では無いので楽に聞いててください。」
「え?は・はい。」
「では、はっ!(ボンッ!)」
すると百合絵さんは何処からか取り出した「指し棒」を地面に向かって振ると、百合絵さんの召喚獣「風紀ロボ・風紀君」を召喚した!
「ウィーンガシャン!百合絵さん、ご指示ヲドウゾ!」
「風紀君、これから私の説明に合わせて映像を写してもらいます。よろしく。」
「ガッテン、了解シマシタ!」
「おぉ…この前のポンコツロボ。」
「…ナンカイッタカ?コゾウ?」
「な・何でもナイヨー?」
「風紀君…翔くんに変な事を言ったらこの手で魔改造しますよ?(拳を握る)」
「ナオッテマス!ナオッテマス!ではではイザ上映!」
「2」
〜アジト 風紀くんの映写機起動中〜
部屋を少し暗くして、「風紀とは?」の文字がスクリーンに映る。
「まず風紀というのは「社会生活の秩序を保つための規律」という意味を持ちます。簡単に言えば集まり・グループ内の常識・ルールですね。例えば翔くんも学校にいる時は守らなければならないルールがありますよね?」
次に翔の学校、高館小学校の映像が映る。
「うん。授業中は遊んじゃダメだとか、夜遅くまで学校に残っちゃダメだよとか…」
「ふむふむ、「ダメ」というのもありますが、掃除当番や日直などの責務を全うする事。宿題などやらなければならない事をする。これも風紀にあたります。」
「あ、そうなんだ。」
次に翔と百合絵さんの今の状態が映る。
「それではここで今の私と翔くんの状況を見てみましょう。今は魔法少女の仕事や翔くんの修行と言った場面ではありません。私と翔くんの「プライベート」です。」
「???」
「え〜つまり……コホン。」
風紀君の映写機映像が終わる。部屋が明るくなる。
「今は翔くんの「普段」でいいのです、私はただ翔くんとお話をしたいだけ。気を楽にしてください。(笑顔)」
「あ……わかりました。百合絵…お姉ちゃん。」
「グッ…!」
翔の唐突な「お姉ちゃん」呼びに持っていたサメのぬいぐるみを強く抱きしめる百合絵さん!サメの顔が潰れてる。
「百合絵さん、ヌイグルミが危ないデス危ないデス!」
「わ・わかってますってばもう!(ビタン!)」
「グギャア!」
照れ隠しする百合絵さんのビンタによって壁へ吹っ飛ぶ風紀君。埋まってしまった…。
「(戦闘員じゃないってうみねこは言ってたけど百合絵さんのパワー強くない??俺も気をつけなきゃ…)」
「それにしても翔くん、今日も可愛い格好ですね。初めて会った時も思いましたが女の子の才能あると思いますよ?」
「え…?そう…かな?へ・へへへ(ニヤニヤ)」
褒められてニヤける翔。ようやく翔の笑顔が見れて百合絵さんもよかったぁ…な表情。
「今さらだけど百合絵さんも今日私服なのビックリしちゃった。そのサメのぬいぐるみも百合絵さんの?」
「え・ええ。私、可愛いものが好きで…可愛いのに目が無くて…。」
「ほぇ〜…意外。」
「い・意外!?…ですよね。風紀のプロフェッショナルである私には可愛いのって似合わないですよね…。」
「あっ!いやっ!そういう意味じゃないですよ!」
「百合絵さんは素晴らしい人なのデス!」
壁に埋まったまま風紀君が喋り始めた。
「百合絵さんの通う「東高」は最初、女子高でしたガ…男女共学になって校内の風紀が乱れつつありましタ…。ですが風紀のプロフェッショナルである百合絵さんの活躍によって悪い風紀は一掃されましタ!私はそんな百合絵さんを誇りに思いマス!」
風紀君の賞賛にちょっと照れる百合絵さん。
「風紀君。翔くんに余計なこと教えなくていいですから…。」
「すげぇ…凄いんだね百合絵さん!(キラキラ)」
「え?ま・まぁ風紀に関しては私は誰にも負けませんから…(メガネくいっ)」
「可愛いのが好きな百合絵さんも凄いのデス!部屋には大量の……!」
その瞬間!高速で風紀君を壁から掴み出し、顔を鷲掴みにする百合絵さん!
「余計な……ことを……教えなくて……いいんですよ?(バーサーカー状態)」
「スミマセン!スミマセン!百合絵さんスミマセン!」
「アハハ……。(やっぱりこのお姉ちゃん怖い)」
「3」
〜アジト 再び部屋が暗くなり風紀君の映写機〜
「コホン。今日は風紀チェックをするつもりはありませんでしたが……翔くんに私の恥ずかしい所を見られたので「プチ風紀チェック」を開始します。」
「いや、何で!?」
「安心してください。今回は仕事ではないのでペナルティや注意喚起は無しです。その代わり前回は魔法少女達に関する過去の行動のみでしたが、今回は翔くんの「魔法少女としての自主トレ・特別な日」を映し出します。」
「マジか…。(もしかしてアレとかも?)」
「では行きますよ。風紀君、スタートして。」
「カシコマリマシタ!」
(第17話 新学期 翔の女装登校)
「くっ…恥ずかしい…。間違ってそのまま来ちゃったやつ。」
「風紀は言わずともですが…か・可愛い。男の子でも可愛いですね翔くん。」
「百合絵さん、少し鼻血が出てますヨ。」
「だまらっしゃい!」
「グギャア!」
(第19話 ダブルデート 翔と隼人のデート)
「ぁぁぁぁぁぁぁあああああ……!!!(思い出して悶える翔)」
「見た目は普通のデートですが、コレは小学生男子同士のデート!やりますね……ん?あの魔法少女の2人、翔くんをつけているのですか?なんという…。」
「口で説明するのやめてぇぇぇぇぇぇぇ…!」
(第20話 チョコレート作るよ!! チョコを先輩達に配る翔)
「ズルいですね…!私も翔くんのチョコを来年貰いたいです…!」
「うん。今度は百合絵さんの分も作るよ。」
「楽しみです。あの野蛮な西校の生徒会長よりスゴイものを期待します!」
「が・頑張るよ。その代わり百合絵さんも頂戴ね?」
「当然です。プロフェッショナルに二言はありません。」
「百合絵さん、チョコ作った事ありましタ?」
「だまらっしゃい!」
「ウギャァァ!」
(第24話 総集編 翔の魅力に堕ち、胸へ抱き締めてる百合絵さん)
「ちょっと風紀君!何故この場面を映すのです!?」
「百合絵さん…風紀君を殴りすぎたからじゃ…?」
「ガガガ…ピー…私はポンコツ私はポンコツ…」
「ま・まぁ翔くんと私の出会いを再確認できたという事にしましょう。…………翔くん、あの時はいきなり「魔法少女を辞めろ」だなんて酷いことを言ってゴメンなさい。」
「え…?」
百合絵さんが急に謝ってきて驚いた翔。
「あ、でも本気じゃなかったんですよね?」
「いえ、あの時は本気でした。私は「絶対に風紀を乱さない」という信念と魂を持ってあの場にいたのです。ですが、今では言い過ぎたと深く反省しています。」
「そ・そうなんだ…。」
「あっ…ごめんなさい。嘘は言いたくなかったので…。今はあなたが魔法少女でいる事は、とても素晴らしい事なのだと思っていますよ。男の子なのに大変だと思いますが、これからも魔法少女を頑張ってください。翔くん。」
「…!は・はい!」
「4」
〜アジト 再び明るくなる部屋〜
「では翔くん、そろそろ私はここd…」
ガチャ!
「たっだいま〜!翔〜いい子で待ってた〜?」
「疲れた。早く座りたい、紅茶飲みたい。」
「すまない翔、3人とも魔獣退治で遅くなっ……た………。」
上映が終わったタイミングで魔獣退治から帰ってきた翔の魔法少女先輩である3人、「若菜・千紗・凛」。
帰ってきたら翔が百合絵さんと楽しく座って喋ってるという状況を見て場の空気が固まってしまう。
だが翔の保護者(自称)である凛は長くは黙ってなかった!
「貴様…アジトに不法侵入した挙げ句…翔と何をしている!?返答次第では許さんぞ!」
「誰が不法侵入ですか。私も魔法少女の一員です。あなたの許可をもらう必要は無いはずですが?野蛮な西校の生徒会長さまはそこまで心が狭いとは…。」
「なんだと貴様!糞東め…言わせておけば…!どうせ翔目当てで私たちのいない時間を狙ってやって来たのだろう!」
「…!!(野蛮でも生徒会長…鋭いですね。)」
「図星のようだな。翔の如何ともし難い可愛さは認めるが、少々行動が浅はかだったな。ロリコン風紀委員長?」
「ロリコッ…!違います!そもそも翔くんは男の子であって…!」
ガミガミと口喧嘩を始めてしまう凛と百合絵さん。
千紗はそんな2人に目もくれずそそくさとイスに座り、若菜は翔の両肩に手を乗せて体重をかけながら様子を眺めている。
「いやいや2人とも!?凛さんと百合絵さんを止めてよ!」
「「無理。」」
「ハモった上に即答…。」
「まぁキャプテンがあのメガネを○しそうになったら止めに行くよ?でも今はいいんじゃない?」
「そうね。凛姉もさすがに分かってると思うわよ。多分。」
「多分って…。」
〜数分後〜
「ゼェ…ゼェ…。」
「ハァ…ハァ…まぁともかく。目的は果たせましたので、今日はお暇させていただきます。」
「そうか。だが次、翔に何かあった時は容赦せんぞ。」
「……分かっていますよ。」
一瞬、落ち込んだ顔になった百合絵さんだがすぐ表情を変えて翔に振り向く。
「では翔くん。今日はありがとうございました。これからも風紀を守って健やかな魔法少女生活を。」
「うん。今日は楽しかったよ。ありがとう百合絵さん!」
「……。(ニコッ)」
ドアに手をかけ出ようとする百合絵さん。
「あ。次の風紀チェックの時は私も容赦しませんのであしからず。特に星光学園の人。」
「ギクっ!(ギクっ)」
「世話になったな…若菜。」
「そりゃ馬鹿奈、前回ギリギリ翔のおかげで助かったもんだしね。(24話総集編 参照)」
「あ〜…そういえば。」
「それでは。またお会いしましょう。」
アジトを出て行く百合絵さん。
少しして心配そうに翔へかけ寄ってく凛。
「翔、あの糞東のメガネに変な事されなかったか?大丈夫だったか?」
「大丈夫だよ凛さん。百合絵さんとお話したり風紀君の映像を一緒に見たりしただけだから。」
「ふ〜ん、何見てたの翔?」
「若菜たちは映ってないよ。俺のことばっかり。」
「やっぱりあの風紀委員長、翔のこと大好きになってるわね…。」
「……むにゃむにゃ。うるさくなってきたのぉ…皆帰ってきたか。」
魔法少女達のマスコット(?)、うみねこが定位置から起き上がってきた。
「あ、うみねこ。いたんだ。」
「猫神さまじゃ!む?結局あの娘は来たのかの?翔に会って謝りたいと言っておったのじゃが…?」
「あぁ。あの糞東ならさっき帰っt……待て、謝りたい?」
「あ、口が滑っt……にゃーん!にゃーん!」
うみねこのカミングアウトに一瞬考えこむ凛。
「はぁ…そういうことか。本当か翔?」
「う・うん。過去の映像見てる時に…。」
「そうか…わかった。」
パン!と両手を叩く凛。
「ほらお前たち!魔獣退治で疲れているが翔が来たのだ。翔の特訓を皆で考えるぞ!」
「え〜?キャプテン、その前にジュースやお菓子飲んで休みましょうよ〜!翔〜冷蔵庫から取って〜!」
「自分で取らんか!(ポカっ)」
「いたぁい!DVだぁ!」
「意味がわからんわ!」
「…DVってなぁに?千紗姉ぇ?」
「そうねぇ…。いい翔?DVって言うのは…」
「千紗も翔に変なことを教えるな!あの風紀メガネに次指摘されるぞ!?」
ワイワイはしゃいでいく翔たち。
そのまま遅くまで遊んでしまったのはまた別の話…。
一方、帰り道の百合絵さんは…
「百合絵さん。アジトに向かう時は緊張してた顔でしたのに、今はスッキリした顔ですネ!」
「…そうですね。ちゃんと翔くんに直接あの時の事を謝れるか少々不安でしたから。ですが、ミッション達成です。」
「ボクはボコボコにされっぱなしでしたガ…百合絵さんが笑顔になれたのであれば良かったデス。」
「……ありがとう。やはりアナタは最高の召喚獣ですね。」
「……へ・へへへ〜。」
「翔くんの真似をしても可愛くありません。」
「…ガピー。」
「翔くん。また次会えるのが楽しみです。」
おしまい。